「いかに異常か気づいてほしい」中満泉・国連事務次長が海外から見た日本の現状:毎日新聞ニュースより引用しています。

声をつないで

「いかに異常か気づいてほしい」中満泉・国連事務次長が海外から見た日本の現状:毎日新聞ニュースより引用しています。

隅俊之

毎日新聞

私は、日本の現状は異常だと思います。国連のように、男女平等が当然の世界になるべきでしょう。
私自身は、こうはやってきませんでした。60 年前から生きてきた人間ですから、家庭のことは全部妻に任せてきました。反省しています。
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50年前では、1,980時間/年が通常の勤務時間でした。200時間/月が、残業時間でした。これが当たり前でした。当然、これだと家庭の仕事はできません。妻任せです。
私の娘は、新商品開発の責任者です。前の会社では、女性取締役がいました。
海外勤務が2年〜3年あって、勤務が終了後に、会社を辞めました。今は日本で、別の会社で勤務しています。全て前の会社の報酬やポジションを継続してヘッドハンティングしました。大変だと思いますが、よくやっていると思います。
私の姉妹は、医者です。私と同じくらいの年齢だけど、医者を続けています。女性が疎外されることはありませんでした。
これが当然のことだと思います。私は、後期高齢者で、掃除夫か、クリーニング店の店員、病院のシーツ交換係か、セラピストくらいしか仕事はありません。
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20Kgの砂利や砂を運ぶのは平気だけど、25Kgのセメント袋は担げません。重量CB2個は、20Kgです。これなら運べるけど、4つ同時は無理です。
インタビューに応じる中満泉・国連事務次長=米ニューヨークの国連本部で2020年2月17日、隅俊之撮影
インタビューに応じる中満泉・国連事務次長=米ニューヨークの国連本部で2020年2月17日、隅俊之撮影

 国連で日本人としてトップの事務次長(軍縮担当上級代表)を務める中満泉さん(56)。1989年に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に入って以降、人道支援分野や安全保障分野などでキャリアを積み重ねてきた。スウェーデン人で外交官の夫とともに2人の娘を育てる母親でもある。そんな中満さんに海外から見た日本のジェンダー問題について考えを聞いた。【隅俊之/ニューヨーク支局】

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ジェンダー平等は世界の常識

 ――中満さんは、誰もが性別に関わらず平等に機会を与えられるジェンダー平等は、社会全体のメリットになるとおっしゃっています。

 ◆この考え方は世界の常識です。例えば、紛争など国連が関わる分野では、女性がテーブルについて交渉した和平合意は、男性だけで交渉した和平合意に比べ、15年間持続する可能性が35%高まるという研究結果があります。企業の人に身近なデータもあります。(コンサルティング大手の)マッキンゼーが2017年に出した報告書では、経営陣に女性がいる会社は、そうでない会社よりも営業利益率が高いという結果が出ています。消費者の半数は女性ですから、そのニーズをよく分かっている人が入ることで業績が上がるのは当然です。ジェンダー平等がいろんな意味でプラスだというのは議論の余地がなく、データで示されているのです。

 では、なぜ日本ではジェンダー平等が進まないのか。(国連トップの)グテレス事務総長は、ジェンダーの問題はパワーの問題、権力の問題だと言っています。日本ではこれまでほぼ100%、いろんな地位を男性が独占してきました。それを女性とシェアするとなると、当然、男性側から抵抗が出てくる。つまり、既得権益の問題なのです。

 日本の医学部入試では、男子受験生がげたを履かせてもらっていたことが明らかになりました。それは、能力がある女子受験生の排除を意味します。しかし、よく考えてみてください。その分野でトップの人から採用していかなければ、日本の国力や企業の業績は低いままです。これでは日本にとっても組織にとっても利益になりません。

「女性の人材が少ない」はうそ

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国連の事務次長(軍縮担当上級代表)に就任し、グテレス事務総長(右)と握手する中満泉さん=米ニューヨークの国連本部で2017年10月12日(国連提供)
国連の事務次長(軍縮担当上級代表)に就任し、グテレス事務総長(右)と握手する中満泉さん=米ニューヨークの国連本部で2017年10月12日(国連提供)

 ――国連ではどういう取り組みがなされているのでしょうか。

 ◆国連の幹部レベルでは達成していますが、28年までに全職員の男女比を同じにするという数値目標があります。全部局が計画を立てていて、私がトップを務める軍縮部でも早ければ23年までに達成する計画ですが、遅れが目立つ場合は年2回の幹部会議でみんなの前で公表されます。幹部は事務総長との間で、さまざまな業務目標の達成をいわば契約のような形で約束するのですが、達成できなければ減点されます。まったく進捗(しんちょく)がなければ、その幹部の雇用契約の更新にも影響してきます。

 努力目標を定めるだけではダメです。罰則も含めた数値目標を定め、きちんと監視し、説明責任を求めるやり方でなければ変わっていきません。

 ――そもそも女性の希望者が少ないということはありませんか。

 ◆女性の人材が少ないという話は日本にもありますが、それはうそです。ジェンダーの問題は年齢や世代の問題とも密接に関わっています。私が担当する軍縮問題は、残念ながらいま停滞している分野ですが、これまで若い人や女性が少なかった。しかし、こちらから声をかけて探していくと能力のある女性はちゃんといるんです。

 例えばサイバー安全保障の会合でも、積極的に発言して面白いアイデアを出しているのは、若い女性なんですね。彼女たちはイデオロギーにとらわれず、凝り固まったポジションから発言しない。本当の意味でサイバーのことを理解している。そうした女性が入ってきたことで、新しい可能性を秘めた議論が可能になっているのです。


日本の母親へのプレッシャーはおかしい

 ――中満さんは2人の娘を育てる母親でもあります。苦労も多かったのでしょうか。

 ◆振り返ると私は日本の女性が経験しているような苦労をしたという記憶はないんです。夫はファミリーフレンドな国の人ですし、家事や子育ての分担は当然のことです。彼がストックホルムに単身赴任していた時は、確かに大変でした。子どもが病院に行かなければならない時にたまたま忙しい時期と重なるなど、綱渡りのようなことはありました。

 ただ、本当に苦労したという感覚はない。国連では子育てをしながら仕事をするというのは組織文化として当然のことですから。育休をとることはもちろん、「あの人は今日はリモートワークだからスカイプでつないでね」というのも当たり前のことです。

インタビューに応じる中満泉・国連事務次長=米ニューヨークの国連本部で2020年2月17日、隅俊之撮影
インタビューに応じる中満泉・国連事務次長=米ニューヨークの国連本部で2020年2月17日、隅俊之撮影

 ――苦労はしなかったと感じる大きな理由は何だと思いますか。

 ◆精神的なプレッシャーがなかったことです。日本にいた時、妊娠した女性が「迷惑をかけてすみません」と、同僚に話しているのを見て衝撃を受けたことがあります。国連でそのようなことがあれば、上司が職場で後ろ指をさされます。日本のお母さん世代の女性が、仕事をしながら頑張っている時に一番大きいのは、このプレッシャーだと思います。

 例えば海外には病児保育という考え方はありません。子どもが病気になれば親が休んで家で仕事をするのが当然だと考えるからです。しかし、日本はそうではない。病児保育を利用できない時は、おそらくお父さんよりお母さんが多く休まなければならない。月に何度もあると、迷惑がかかると考えてプレッシャーになってしまう。それはおかしいと思います。

 子育ての分担について夫と話すと、彼はこう言います。「子育ての幸せを女性だけに独占されてたまるか」と。人生の中で子どもと一緒にいられる時間はそんなに長くはなく、一番ハッピーな時代なんです。それを女性だけに任せ、子どもと深く付き合う機会がないというのは、男性にとっても非常にマイナスなのではないでしょうか。

仕事か家庭かを選ぶのは日本だけ

 ――中満さんはツイッターで、お子さんに作ったお弁当の写真を投稿するなど家庭のことも発信しています。

 ◆以前は軍縮や国連の活動が中心でしたが、1年半くらい前に考え方を変えました。国連難民高等弁務官だった緒方貞子さんが、ジュネーブ時代に時々こぼしていたことがあります。彼女は、日本から来た女性雑誌の記者に「エプロンをつけて台所に立っている様子も含めて取材させてほしい」と言われるのが嫌だと話していました。その時に「確かにそうですが、日本でそれを読む女性にとっては、励みになるのではないですか」という話をしたことを思い出しました。

 それで最近は、家庭のこともツイートするようにしました。あれは、こういう仕事をしながら普通の生活をしていますよ、という日本の女性に向けたメッセージなのです。

 仕事か家庭かを選ばなければならないというのは日本だけだと思います。日本ではまだ両立するということが特別なことのように扱われている。私の大学時代の友人でも、仕事をバリバリやっている人は独身だったり、結婚していても子どもはいなかったりします。しかし、どちらかを選ばなければならないというのは、日本が欠陥を抱えている社会だということではないでしょうか。仕事もしたいし、子どもも産みたいという女性はぜひ海外で仕事をしてほしいと思います。

国連安全保障理事会で発言する中満泉・国連事務次長=米ニューヨークの国連本部で2019年4月2日(国連提供)
国連安全保障理事会で発言する中満泉・国連事務次長=米ニューヨークの国連本部で2019年4月2日(国連提供)
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日常的に疑問を持ち、議論を

 ――ジェンダー平等を取り上げるメディアも増えてきましたが、メディアの伝え方についてはどう考えますか。

 ◆日本社会はメディアによる刷り込みが多いように思います。例えばニュース解説の討論番組を見ていると、参加者はほとんど男性で、司会役のメインキャスターも男性、隣にサブの女性が座っている。ドラマでも、会社の役員会議で男性ばかりがテーブルを囲んでいる。それを見ている若い女性は、ああそういうものなのか、と刷り込まれていくのです。そういうシーンが出てくること自体がおかしいのに、そのことに人々が気づいていないのではないのか。日本の隅々にある社会的な習慣や、人の考え方を変えていくことはとても重要です。そういうところから変えていってほしいと思います。

 ――ジェンダー平等について考える機会が増えたとはいえ、考え方が根本的に間違っている人もまだいます。

 ◆日常のいろんなところで疑問を持ち、議論をしていくことが重要です。下の娘がこちらで全日制の日本人学校に通っていた時のことです。とてもいい学校ですが、ある日帰ってきた時にこんなことを言ったのです。男女混合でドッジボールをする時に、ある男の子が、女の子は弱いから2回当てられるまでOKにしようと言ったのだけど、おかしくないかな、と。ドッジボールですよ? 男の子も女の子も同じルールで競争したり、協力したりしなければならない。こういうことは性別差ではなく、個別差で考えるべきなのです。私は「それはおかしいんじゃないかな。クラスで話し合えばいいんじゃない?」と、助言しました。疑問を持って議論することが大事です。

日本は変化を恐れるな

 ――この問題について、次世代の子どもたちにはどう考えてほしいですか。

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 ◆女の子だからできない、男の子だからできない、ということは何一つないということを知り、それを信じてほしいと思います。女の子でも宇宙飛行士になる人はどんどん増えているし、男の子でも保育士になることは当たり前です。自分のやりたいことを性別に関係なく追求していけばいい。それは無理なことではなく、可能なことですよ、と。

 世界はいま大きな転換期にありますが、外から見ていると日本はどうもそれにうまく対応できていないと思います。これを乗り切るためには、国内にあるいろんな才能を総動員しなければならない。日本は明治維新をはじめ、これまでも大きな変化の波を乗り越えてきました。変化を恐れずに取り組んでほしいと思います。ジェンダーの問題も、その大きな変化の中にある問題の一つではないでしょうか。


インタビューに応じる中満泉・国連事務次長=米ニューヨークの国連本部で2020年2月17日、隅俊之撮影
インタビューに応じる中満泉・国連事務次長=米ニューヨークの国連本部で2020年2月17日、隅俊之撮影

なかみつ・いずみ

 1963年生まれ。米ジョージタウン大大学院修士課程修了。89年国連入り。国連開発計画(UNDP)危機対応局長などを経て、17年5月に日本人女性として初めて現職に就任。

     ◇

 「声をつないで」は3月8日の「国際女性デー」に合わせて、性別にかかわらず誰もが生きやすい社会をつくるために何が必要か、さまざまな声から考えるシリーズです。ご意見や情報を「つながる毎日新聞」にお寄せください。

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