マリウポリで人道危機 避難所・病院へ爆撃、路上に放置される遺体

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ウクライナ南東部のマリウポリの病院で2022年3月4日、毛布にくるまって体を温める医療従事者の子どもたち=AP

マリウポリで人道危機 避難所・病院へ爆撃、路上に放置される遺体

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 ロシア軍の包囲が続くウクライナ南東部マリウポリで、人道危機が深まっている。水や電気を断たれ、食料も不足している模様だ。住宅や病院への攻撃が連日伝えられ、民間人の犠牲は当局発表で2300人を超えた。ロシア軍の戦争犯罪を問う声が強まっている。

 16日夕、爆撃されたマリウポリの劇場は人口43万の港湾都市を象徴する建物だ。旧市街の真ん中に1960年代に建設され、周辺は市民の散策スポットだった。

 ロシア軍は侵攻開始後まもなくマリウポリを包囲。2月28日からミサイルや砲弾で集中的な攻撃を始めた。周辺部の市街地はほとんど破壊され、劇場に避難していたとされる約1千人には、こうした地域からの人もいる模様だ。市当局は爆撃直後、中央部が崩れ落ち、黒煙を上げる劇場の写真をSNSに投稿した。爆撃後も周辺への砲撃が続き、死傷者の数は17日午前になっても確認されていない。

 爆撃前に米宇宙企業マクサー・テクノロジーズが撮影した衛星写真には、正面玄関前と後方の広場にロシア語で描かれた「子どもたち」の文字が、上空から見える大きさでくっきり浮かぶ。ウクライナのクレバ外相は「ここが避難所だったことをロシア軍が知らなかったはずはない」とツイート。市当局はSNSに「どんなに時間がたっても私たちは絶対に許さない」と書いた。

 今月9日には、子どもを含む4人が死亡した市内の産科病院への爆撃が世界を揺るがせた。亡くなった妊婦のおなかの赤ちゃんも死亡が確認された。一方、ドネツク州のキリレンコ知事は16日、市内の別の州立救急病院で患者、医療職員を含む400人が「(ロシア軍に)人質にとられた」とSNSに書き込んだ。

 知事が職員から受けた連絡では、周囲の高層住宅群が砲撃や爆撃で燃え上がり、多数の住民が病院に逃げ込んでいた。しかし攻撃がやまず、病院から出ることも外から病院に近づくこともできなくなったという。

 両国の合意により、マリウポリでは5日から計20万人の避難が始まるはずだった。しかし時間になっても攻撃はやまず、避難のため送られたバスも近づけない状態が続いた。乗用車160台を連ねた第1陣が出発できたのは14日だった。15日には4千台で約2万人以上が避難した。だが、16日にはウクライナ軍はロシア軍が車列を攻撃し死傷者が出たと発表した。

 一方で、水や食料を積んだ救援物資のトラックは16日も市内に近づけず、約80キロ離れた港湾都市ベルジャンスクで足止めを強いられたまま。16日に市内から避難した女性の1人は、英BBCラジオに「戦争が始まった直後に小麦粉を買いこんだが、その後、家では電気、ガスも水もなくなって調理できなくなった」と語った。集中的な砲撃開始から数日で携帯電話も通じなくなった。

 ロシア軍は「民間施設を攻撃していない」とする。しかし市内に残ったAP通信記者が撮影した映像は、車体に「Z」の文字を記したロシア軍の戦車が高層アパートに砲弾を浴びせる様子を伝えている。「Z」と記した戦車はほかでも目撃されているが、文字が何を意味するかは不明だ。攻撃で子供を失った女性は、APの記者に「誰が子供を返してくれるの、誰が」と泣きながら語ったという。

 タス通信によると、ロシア国防省は16日、「ウクライナの民族主義者部隊が、挑発のため劇場を爆破した」との見解を示した。

 市当局はこれまでに確認できた死者を約2300人とする。攻撃が激しいため、遺体はしばしば路上に放置されているという。遺体は正式な埋葬ができず、市内の野原に掘られた「集団墓地」に並べて埋められている状態だ。

 ウクライナ政府はロシア側と停戦協議を進めると同時に、民間人への攻撃は戦争犯罪だとして、ロシアの責任を問う姿勢を強める。

 国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)のカーン主任検察官は今月2日、ロシア軍のウクライナ侵攻について、戦争犯罪や人道に対する罪、集団殺害(ジェノサイド)の罪で捜査を開始したと発表。ウクライナ大統領府によると、ゼレンスキー大統領は16日、同国を訪問中のカーン氏とオンラインで会談し、戦争犯罪に関わった実行行為者、軍、政治家の全員が刑事責任を問われなければならないと訴えたという。

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