コロナ禍、婚活する人急増 「気づいたら1週間オンライン会議しか」


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伊東諒斗さん(右)と万澄さん=提供写真

コロナ禍、婚活する人急増 「気づいたら1週間オンライン会議しか」

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 新型コロナの流行下で、結婚したカップルの数は大きく減りました。一方で、パートナーを求め、「婚活」する人は増えています。出会いの場が少なくなったことが背中を押しているようです。山本奈朱香

ロマンチックな出会い 憧れもあったけれど

 出会いは昨年5月だった。

 会社員の伊東万澄(ますみ)さん(29)は昨年2月まで大阪やインドネシアや大阪で勤務。3月から東京で暮らし始めた。まだ友人が少ない上に、コロナ下で合コンもない。一人暮らしで、気づいたら1週間ほど、オンラインで仕事の会話しかしていなかったことも。

 「彼氏が欲しいな」と考えるようになり、以前使ったことがあったマッチングアプリ「ペアーズ」を再開した。

 ペアーズでは自分の写真やプロフィル、趣味などを公開できる。好みの相手には「いいね」のボタンで知らせることができ、相手からも「いいね」が返ってくるとマッチングが成立。個別にやり取りできるようになるサービスだ。

 そして、1カ月ほどたって会ったのが諒斗(りょうと)さん(27)だった。

 諒斗さんがペアーズを使い始めたのは2020年4月。友人や同期が結婚し始め、結婚を意識するようになっていた。

 「バーで偶然会って恋に落ちるようなロマンチックな出会い」への憧れがあり、最初は抵抗感があった。でも、在宅勤務が続いて社内での出会いも減っていた。コロナ下で「一人は寂しいな」との思いも強まり、焦りもあったという。

 電話でもやりとりしたあと、万澄さんに会い、「この人だ」と感じた。お互いに海外生活の経験があり、共働きを希望。話が合い、金銭感覚も合っていた。すぐに付き合うようになり、9月にプロポーズ。10月には結婚した。2人とも基本的に在宅勤務のため、平日も一緒に昼食をとったり、時には散歩をしたり。寂しさを感じることはなくなった。コロナの流行が落ち着いたら結婚式を挙げるつもりだ。

結婚相談所もアプリも盛況

 厚生労働省の人口動態統計によると、コロナの感染が広がった20年の婚姻件数は52万5507組。19年から7万3500組減った。

 ただ、出会いに向けた行動を取る人は増えている。調査会社「データエーアイ」によると、コロナ禍前の19年と20年で比較すると、ペアーズのダウンロード数は170%と大幅に増えた。

 日本結婚相談所連盟でも、18年と比較して21年は20代の入会が53%増加、コロナ禍で全体の入会者も増えた。2月時点の会員数は7万6千人近くで、コロナ前(19年12月)の6万5千人弱から1万人以上増加。19年12月に約3万3800件だった月間お見合い成立件数も、今年1月には約4万8500件近くとなり、4割増えた。

 相談所の開業も増えている。加盟相談所はコロナ禍で初めて3千社を超えた。本業に影響を受けたホテルやウェディング業界の参入が相次いでいるという。婚姻数は減少傾向だが、連盟の広報担当者は「婚活をする人が増えていることによって、今後、婚姻数の増加も期待される」と話す。

 相談所大手のツヴァイでも、昨年11月の入会者が前年同月比で160%。やはり20代の入会者が増えているそうだ。広報担当者によると「出会いの機会が減った」「会社に行く機会が減り、異性の同僚と話すことがない」などの入会理由が多いという。

 同社ではオンラインでのお見合いやパーティーなども導入。地方出身の女性が地元の男性とお見合いして結婚するなど、距離に関係なく出会う機会が増えたことも特徴だという。

 相手に求めるものにも変化が現れている。家で過ごす時間が増えることにより、年収や見た目より「一緒にいて楽な人」「気遣いができる人」を求める傾向が強くなっているそうだ。

「デート商法」に注意

 一方で、気軽に始められるマッチングアプリでは、出会った人に連れられて行った店で高額請求されるといったデート商法の被害も起きており、国民生活センターなどが注意喚起している。

 ペアーズでも、メッセージのやり取りを始めてまもなく、「有料プランが切れる」などの理由で他のアプリへの移行や直接会うことをしつこく求めてくる▽本名や勤務先、メールアドレスなど詳細な個人情報を聞いてくる、などの相手には注意するよう会員に啓発している。

 公的身分証明書での本人確認も実施。目的外利用者の多くが海外からのアクセスだったため、21年7月からは、海外のIPアドレス(インターネット上の住所)からのアクセスを制限しているという。

カウンセラー「婚活以外にも目を向けて」

 また、幸せを求めて婚活を始めたはずなのに、疲れてしまう人も少なくない。公認心理師として相談を受けるカウンセラー(プロフェリエ所属)・今井さいこさんに対処法を聞いた。

     ◇

 コロナ前からあったことですが、婚活に取り組む中で心身の調子を崩す人もおり、私も相談を受けています。

 「婚活疲れ」の理由は主に二つ。一つ目は、繰り返し相手から断られることで自己肯定感が下がること。もう一つは、生まれ育った環境やこれまでの人生の中で刷り込まれてきた結婚観と、自分が本当に求めている結婚観にギャップがあり、なかなか理想の人に会えずに疲弊してしまうことです。

 私は、婚活は「自分と向き合うこと」だと考えています。自分が何を大切に生きたいのか、人生において絶対に譲れないものは何なのか。それが分からないまま婚活をしてしまうと、長期化して疲れてしまう。逆に、自分が大切にしたいことが分かっていれば、相手から断られても、「自分には合わない人だ」と思い、また前向きに進めます。自分にとっての理想の結婚ができる人もいれば、実は結婚したいわけではなかったと気づく人もいます。

 独身の人はいまでも「結婚しないの?」などと言われることがあるかもしれません。でも、意外と周囲は無責任に言っているだけのことが多いです。そんな一言に心を乱されるのではなく、長期的に見て、自分がどういう人生を歩みたいのかを考えてみる。その上で「いま、婚活をした方がよいのか」自体から、考えてみる必要があります。

 また、コロナ下ならではのストレスもあります。対面だと、相手の人がお店の人とやりとりする様子などからも人となりを推し量ることができますが、オンラインだと難しい。緊急事態宣言下でも対面で会うのか、といったことでも意識差があり、悩んでいる人もいます。人は、自分がコントロールできないものにストレスを感じるので、相手からの返事を待つだけでなく、その間に他のことをしてみることを心がけましょう。「嫌な日が続く」と思うなら、ノートなどに、小さくても楽しかったことを書き出すといい。婚活以外のことにも目を向けると「意外にいい1週間だった」と思えるかもしれません。

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