ロシアに「日本を攻められる」と思わせない:毎日ディジタルから引用しています。

寄稿

ロシアに「日本を攻められる」と思わせない

和田義明・衆院議員

和田義明氏=須藤孝撮影
和田義明氏=須藤孝撮影

ステージが変わった

 ロシアはウクライナ侵攻後、北方領土で軍事演習を行った。納沙布岬などからは夜間演習の閃光(せんこう)が見える。北海道、特に道東地方の人たちはとても不安な思いをしている。

 冷戦終結まではソ連に面する北海道が国防の最前線だった。冷戦終結後も脅威がなくなったわけではないが、政府の判断として中国の脅威に対応するために南西諸島方面にシフトしてきた経緯がある。

 極東ロシア軍の部隊数は冷戦時代に比べれば減っている。しかし、たとえば極東に配備されている核ミサイル搭載原子力潜水艦は3隻のうち2隻が最新型に更新されている。最新型の地対空ミサイル、地対艦ミサイル、戦闘機も配備され、北方領土の兵士も増強されている。

 ウクライナ侵攻でステージが変わった。冷戦時代と同様か、それ以上のリスクがあると認識しながら北海道の防衛体制を考えなければならない。

北方領土・国後島で行われた軍事パレードで、ロシア国旗を掲げ行進する軍人ら=2022年5月9日、共同
北方領土・国後島で行われた軍事パレードで、ロシア国旗を掲げ行進する軍人ら=2022年5月9日、共同

事態を起こさせないことが最善

 もっとも日本の防衛力には限りがある。難しい問題だが、今までの延長ではなく、一から積み上げる議論が必要だ。北海道も中途半端、南西諸島も中途半端ではいけない。安価な無人機や、攻撃型も含めたドローンなどの活用で工夫しなければならない。また、強固な抑止に資する反撃能力があることを見せておくことも重要だ。

 ロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席に、日本を攻めて勝てると絶対に思わせないことだ。「小競り合い」でも紛争が起きれば止めるのが困難になる。揺るぎない抑止力で「攻められる」と思わせないことが結局は一番、平和への近道になる。

日米同盟をその都度確認する

 もちろんウクライナとは異なり、日米同盟がある。しかし、同盟は繰り返し確認が必要だ。表には出せなくとも、首脳間で一定のシナリオを想定して、ことあるごとに確認をしておく。特に米国の「核の傘」(拡大抑止)については、台湾有事、北方正面での衝突、尖閣諸島(沖縄県)での衝突などのシナリオをベースに常に確認し続けなければならない。

 ウクライナには米国と英国、ロシアが安全を保障したブダペスト覚書があった。しかし、多くの国が支援しているとはいえ、現在、実際に戦っているのはウクライナの兵士だけだ。この経緯を見ても「日米同盟があれば安心」というわけにはいかない。

 国際政治のなかでは、同盟も約束も、核心的利益があるかどうかで簡単に変わってしまう。米国にとって日本が核心的利益であるかどうかを常に確認しておかなければならない。

核ミサイル部隊が参加したロシア軍の軍事演習で発射された大陸間弾道ミサイル「ヤルス」=2022年2月19日(ロシア国防省提供・AP)
核ミサイル部隊が参加したロシア軍の軍事演習で発射された大陸間弾道ミサイル「ヤルス」=2022年2月19日(ロシア国防省提供・AP)

外交は可能な限り厳しく

 ロシアにとっては「戦時下」だが、こうした時もコミュニケーションを保つことは基本だ。日本にとって最悪の事態は、ロシアと中国が連携することなので、ロシアを少しでもこちら側にひきつけておくことは戦略的にも重要だ。

 北方領土や資源の問題もある。完全に断絶状態になると、交渉再開も難しくなる。お互いの利益になる関係は残せるものは残しておく。ロシアにとっての日本の戦略的不可欠性がなくなってしまえば、日本を大事にする必要がなくなってしまう。

 ただし、外交上の手法としては可能な限り厳しくやらなければならない。プーチン氏の侵略はどうあっても失敗に終わらせなければならない。どんな観点からであっても成功裏に終わったとなれば、ロシアはまた同じ事をやってくる。そして中国の台湾侵略のハードルを下げることになる。

 国際社会の結束を打ち破ることはできない、ロシアの侵略は失敗だったと認識させることが絶対に必要だ。

核ミサイル部隊が参加した合同軍事演習の映像に見入るロシアのウラジーミル・プーチン大統領(右)とベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領=モスクワで2022年2月19日、AP
核ミサイル部隊が参加した合同軍事演習の映像に見入るロシアのウラジーミル・プーチン大統領(右)とベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領=モスクワで2022年2月19日、AP

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